一気に行きまっす。

というわけで、弥生さんから回していただいた「Book Baton」、ソッコーで回答させていただきたいと思います。うん、「Music Baton」よりこっちのほうが自分向きですね、間違いなく。

・持っている本の冊数
…間違いなく1,000冊は超えているはずです。いやマジで。日本史系の学術本からマンガ、はたまた文庫本から○○本に至るまで、文字通り「四方を本に囲まれて」暮らしています。
基本的に「本の虫」なんですよ。出歩くとき、読む読まないにかかわらず、必ず1〜2冊本をカバンに詰めていかないと落ち着かないんです*1
近い将来、実家を離れて暮らすことになったときのことが目下の悩みのタネです。まさか1,000冊全部を持っていくわけにはいかないでしょうし*2。取捨選択に悩むところです。不在のうちに捨てられたりしたら暴れるぞ*3

・今読みかけの本 or 読もうと思っている本
・ヨコモレ通信辛酸なめ子文藝春秋
ヨコモレ通信
…最近どうにも気になって仕方がないのです、このヒトのこと。とは言っても、「見目が」じゃなくて*4、独自のワールドが…なんですけど。
最近購入した『サイゾー』という雑誌に彼女連載コラムを持っているのですが、その回のテーマがスゴかった。「婦人科初検診」。30歳を過ぎて初めて婦人科の門をくぐったときの様子を、赤裸々に、しかし独特のテーストで表現しています*5。そんな彼女のエッセイ、多分肩の力を抜いて自然体で楽しめるんだろうな…という期待を込めてのエントリです。ちなみにこの人、同じサークルに所属している女の子の高校の同級生だったりします。

・最後に買った本(既読、未読問わず)
・東京エイティーズ 9 安童夕馬小学館
東京エイティーズ―80’s love & pop! campus romance graffiti (9) (ビッグコミックス)
…マンガ、けっこう好きです。そのなかでも最近お気に入りの作品の1つ。時代はかぶらないけど、この作品見ると無性に大学生だった頃思い出すんですよね。懐かしいキャンパスの風景とか。
近頃は「汚れちまった悲しみに」身を焦がす毎日ですが、学生時代に戻れるような、あの日へのノスタルジィを満たしてくれる、そんな作品です。

・特別な思い入れのある本、心に残っている本5冊(まで)
…5冊っちゅーのはいささかムリな注文ですが(笑)、思いつくままに挙げていきましょう。


(1)燃えよ剣司馬遼太郎。新潮社)
燃えよ剣〈上〉 (新潮文庫)
まずはこの本は外せません。多摩のバラガキ*6と呼ばれた少年時代から、「鬼の副長」と呼ばれた新撰組時代、そして箱館で壮絶な最期を迎える戊辰戦争に至るまで、「喧嘩屋」としてその35年の生涯を駆け抜けた歳三の姿が目の前に浮かぶような珠玉の名作です。
竜馬がゆく』と並行して読み進めたのですが、こちらのほうが遥かに心に響きました。なぜかといえば…自分も土方歳三同様に「喧嘩屋」なので感情移入できたのでしょうかね(笑)。
おれの名は、悪名として残る。やりすぎた者の名は、すべて悪名として人々のなかにいきるものだ。
歳三の独白、痛いほど胸に刻まれました。「誠」を貫き、その生き方に殉じた男。間違いなく「かっこいい」です。自分もこのように生きてみたい、と思わされずにはいられない1冊でした。そんな歳三が、お雪という女性にだけ見せる繊細さ、そして優しさ…。箱館での最後の朝での別れの場面はマジ泣けてきました。


(2)風光る渡辺多恵子小学館
風光る (17) (flowersフラワーコミックス)
新撰組モノ続きますが、この作品は面白いです。父と兄を尊皇派志士に殺された女性富永セイが、男装し神谷清三郎と名前を変えて新選組に入隊、そこで沖田総司に淡い恋心を…というストーリーです。
以前にもちらっと触れたことあるのですが、とてもしっかりとした歴史考証に基づいて描かれている作品なので、読み応えあります。なにより、若い女性に新撰組の魅力をあまねく広めたという点においては、昨年の大河ドラマ新選組!』と並んで功績ツートップでしょう。
この作品で1番心に残った言葉は、総司のことを風のようだと言い、自分は不安に揺れながら風についていけない野の草だと言ったセイに対して、山南敬助が贈ったこの言葉です。
風には色も形もない。草が揺れてはじめてそこに風の在るのがわかるのだから。
草がなければ風はきっと己自身さえ見失うだろう。だから君はもっともっと大きく揺れて、「おまえの居場所はここなのだ」と、風に教える草になりなさい。

…ホント泣きそうになりましたよ。「自分もこれからは『誰よりも葉を広げて大きく揺れる草』になれるように努力し続ける自分でありたい」と思わずにいられなかったこと、よく覚えています。


(3)意外に大変。後藤浩輝。東邦出版)
意外に大変。
以前にも書いたとおり、後藤騎手は今現在1番好きな騎手です。不器用だけどひたむきに、そして自分らしさを100%出そうと頑張っている姿が伝わってくる、パッションあふれるジョッキーです。笑ったり、泣いたり、壁にぶつかって真摯に悩んだり。そんなところ、なんか自分とよく似ているんですよ。「同じ匂いがする」とでも言いますか。すべり気味のパフォーマンス好きなところとかもそっくり(笑)。
そんな彼が、等身大の自分の軌跡を、飾らずに書き綴った初のエッセイがこの作品です。決して天才ではないけれど、彼にしかない何かを掴もうと必死に戦っている、そんな彼の姿がひしひしと伝わってくる1冊です。


(4)北条政子永井路子文藝春秋
北条政子 (文春文庫)
芥川賞作家である永井路子さんは、自分が日本史フリークになるきっかけを作ってくれた人です。彼女の作品にめぐり合うことがなかったら、おそらくここまで日本史にのめりこむことはなかったと思います。
行き遅れた伊豆の豪族の娘政子が、源頼朝と出会い、結ばれたことによって、辿ることになった数奇な生涯。激しいまでの愛情ゆえに、夫の浮気相手の隠れ家をさんざんに打ち壊したり、息子の頼家を死へと追いやってしまったり…などの政子の姿。どんな歴史書より生き生きと描かれています。
この作品が白眉なのは、それまで北条義時が黒幕だとされていた源実朝暗殺事件について、「黒幕は三浦義村である」という見解を初めて示したことです。今日では、歴史学者の大半はその説を採っています。


(5)デミアン(ヘッセ/高橋健二訳。新潮社)
デミアン (新潮文庫)
最後は洋物を1冊(笑)。高校2年生の頃、片思いに苦しんでいました*7。もう、文字通り1人で穴掘って、悶々と苦しむ始末。そんな自分の様子を敏感に察してくれた現国の先生*8が、短い手紙とともにくれたのが、この本でした。そのなかの1節、
鳥は卵の中から抜け出ようと戦う。卵は世界だ。生まれようと欲するものは、一つの世界を破壊しなければならない。
を目にしたとき、自分の胸の中から苦しい気持ちがすーっと引いていくのが手に取るように分かりました。大学で日本史を専攻しようと思っていた自分が「…国文科も受けてみようかな」と思ったきっかけというのは、実はその先生との出会いだったのかもしれません。

・次にまわす人(5人まで)
…「止めてしまおうかな」とも思ったのですが、せっかくバトンをいただいたわけですし、ここはひとつお願いしたいと思います。
「あっちの業界のほうの知り合いの方」で、かつ「私より人生経験豊富な方」という見地から、誠に勝手ではありますが、davideさん(http://d.hatena.ne.jp/davide/)にお願いできれば、と。davideさん、また「はまぞう」駆使しなくちゃで面倒かけてしまって申し訳ないのですが、よろしかったらぜひ受けてやってください。もちろん「お断りします」も「バトンは次には回さず止めます」もOKです。

…「ソッコー」と言った割には随分時間かかってしまいました。弥生さん、こんなもんでよろしかったでしょうか?


書いてるそばから『燃えよ剣』読み返してます。もう何回目だろ? 人気blogランキング

*1:ほぼ病気といっても過言ではありません(笑)。

*2:それこそ、かつて報道を賑わせた某ニュースの方のように「アパートの床が抜ける」なんて事態にもなりかねません(笑)。

*3:サークルの先輩で「創刊号からずーっととっていた『Number』を結婚後も実家に置いておいたら、知らないうちに親御さんに処分されていた」という人がいました。ちなみにその人は「そのときばかりは真剣に親を訴えようと思った」と証言していました(笑)。

*4:Chattertonさん曰く「辛酸なめ子は『これ、俺の彼女』って友達に紹介できるギリギリの範囲にいる人」。言いえて妙(笑)。

*5:ご丁寧に「処女の場合」「Bitchの場合」の2パターンで。しかし「Bitch」ってあーた…。

*6:「茨垣」という漢字を当てます。多摩方言で「乱暴者」「不良少年」という意味とのことです。

*7:いや、ここは笑うところじゃなくて。

*8:若い女性の先生だったんだ、これが。