ドキュメント・ザ・大腸内視鏡検査

というわけで。
昨日1日のレポートをば。


朝6時半に起床して。
まず早々にやらなくてはならないことは…。


…2リットルの「ムーベン」を完飲することでした。


コップに移して、1杯、1杯、また1杯と李白漢詩文の如く*1飲み干していくうちに。
1リットルを過ぎた辺りから…。


キました。
トイレに行って、(中略)しては、手を洗い、またムーベンを1杯のみ、すぐトイレに呼ばれ…。
そんなこんなを何度繰り返したでしょうか。いや、トイレは真剣に10回以上は呼ばれたはず。
おかげをもって、ムーベン2リットルを全て飲み干すことができ、腸内の不純物は一掃されました。
これにて、「検査いつでも来い」状態。


で、車の運転がNGということなので、電車とバスで病院へ。
…その間「絶食」ですから、いかに最近食が細くなっている身とはいえ、相当しんどいものがありました。「ドリンクは取っても差し支えない」とのことだったので、朝から何も口にしない状態に耐え切れず、平塚駅ポカリスエットを補給。


病院に到着すると。
ソッコーで、検査着に着替えさせられました。
幼稚園児のスモッグのような検査着の下には、特製の使い捨てパンツ…そうです、「後部にザックリ割れ目の入ったパンツ」一丁という、ある種「…自分の人間としての尊厳はどこへ?」という格好にさせられ。
検査室に入ると、点滴を打たれました。
体液と同じ成分のリンゲル液(とおぼしきもの。もしかしたら生理食塩水かも)に、胃腸の働きを抑える注射液、さらにボーッとなってきて苦痛が和らげられる安定剤が次々と加えられていくと。
多少薄ぼんやりとしてきましたが。
意識は案外しっかりとありました。


そして、件の名医登場。
いよいよ「後ろからどうぞ」の始まりです。


…とはいえ。
例の安定剤が効いていたのか。
「ズキュ」の瞬間は全く覚えていません。
「いつの間にやら…」って感じでした。


多少苦しかったのは。
曲がっている腸内をカメラが進むとき。
例えば、S字結腸の「S字の部分」とか、下行結腸から横行結腸、横行結腸から上行結腸・盲腸へと進むときに、多少苦しさを感じましたが。
ガマンできないものではありませんでした。
想像していたよりは、比較的苦痛が少ない検査でした。
安定剤のおかげなのが、それともさすが名医のなせる業なのか。


さて。
今年11月22日放送のNHK『ためしてガッテン』を見ていたら。
こんな内容が紹介されていました(http://www.nhk.or.jp/gatten/archive/2006q4/20061122.html)。

健康な男女10名に、大腸の中にカメラを入れる大腸内視鏡検査を受けてもらいました。みなさんこの検査をうけるのは初めて。すると驚くことに、全ての人に「ポリープがある」ことがわかりました。


しかも、ポリープには「がんになる可能性のあるポリープ」と「安心なポリープ」の二種類があるというのです。実験の結果、10名中4名は「がん化の可能性がある」と指摘され、うち1名は、すでにポリープの一部ががん化していました。


安心なポリープとは、大腸の表面の正常な細胞が傷の修復などで増殖しすぎたため盛り上がるものです。これはがんではありませんし、また、がんになることもありません。


一方「がん化の可能性があるポリープ」とは、その名を「大腸腺腫(せんしゅ)」といいます。安心なポリープと同じように盛り上がった形をしていますが、中身の細胞が正常ではなく、ある変化を起こしてしまっているのです。そのためあるきっかけで、がんに変化してしまうのです。

たまたま妻の実家で妻と妻の母と見ていて。
自分も検査受ける予定があっただけによく覚えていたのですが。
「良性・悪性を問わなければ、ポリープは検査を受けた人ほぼ100%近くに見つかる」「ただし、そのうち『がん化するポリープ』がある人の確率は約40%」とのことでした。


で。
ご多分に漏れず。
私も見つかりました。
ポリープ。
3個も。


ただし、先生曰く「ああ、これは一目で良性だと分かるものだなあ。でもいい機会だから今のうちに取っておこう」とのことでしたので。
病理検査の結果待ちではありますが、まずは案ずることはないようです。


余談ですが。
大腸の内部には、ほとんど神経がないのだとか。
なるほど、3回もメスでチョンとされたのに、痛みは全くありませんでした。むしろ曲がった腸内をカメラが行き来するときのようがよほど苦しいぐらい。


かくして。
概ね30分程度の所要時間で、検査は全て終了。
「この感じなら、次は3年後ぐらいで十分だ」との先生のお墨付きをいただきました。
あれだけすぐ痛くなったりハラこわすわりには、自分の大腸壁はしょっちゅう痛くなる横行結腸を筆頭に全てすこぶる綺麗なものでした。腸が弱い原因がこれで全く分からなくなるぐらいに。


例の安定剤が効いているので。
リカバリー室で、1時間ばかり横になるように言われました。


大腸内視鏡検査って。
苦しいのは、検査中より、むしろ検査後かもしれません。
大腸内視鏡って、カメラから空気を送り出して腸内を膨らませて腸壁を傷つけないようにして進んでいくらしいのですが、この空気が(相当量をカメラで吸引してもらったにもかかわらず)残ってしまい、おなかが張って張って苦しいやら痛いやら。


対処策をナースに聞いたら。
曰く「どんどんおならで出しちゃえば楽になりますから」とのこと。


なるほど。
(汚い話で恐縮ですが)放屁、放屁、また放屁と繰り返すごとに、少しずつ楽になっていきました。
そういうふうなものらしいです。
『放屁論』の作者である平賀源内もビックリです。


1時間ほどベッドでウトウトと眠りつつ。
着替えて、診察室で再度ドクターの話を聞いて。
今回の検査は全て終了となりました。


いや、これ思っていたよりも相当楽でしたね。
辛かったのは「ムーベン」と、カメラが腸内カーブするときと、最後の膨満感だけ。
3年半前にやった「大腸造影検査(いわゆる「バリウム」です)」の数千倍楽でした。3年後もぜひこちらでお願いしたいものです。


というわけで。
いまだになぜか腸内に空気が残っているような気配はあるものの。
1日経った現在は、心身ともにスッキリした状態でおります。


ただし。
ポリープを取ったため、検査から3日間は食事は「消化のいいもの限定」を言い渡されています。
昨日の夕食は「中華粥」。本日の朝食兼昼食も「紅鮭粥」となりそうです。夜はうどんぐらい食べようかな。
明日は中華街で知人と食事の予定があるのですが、これだけは先生にお願いして「食べていいものダメなもの」を教えてもらいつつそれを遵守するならOKということになりました。しばらくぶりのまともな食事になりそうです。


最後に。
今後、大腸内視鏡検査を受ける予定のある(あるいは「受けたほうがいいかな」と思っている)みなさん。
経験にのっとって何なりと相談に乗らせていただきますので、いつでもご相談ください。


★★しかし今日思い返してみても長い1日でした。人気blogランキング★★

*1:出典は「山中にて幽人と対酌す」という詩文の第2句です。