ちょっと古いニュースですが…

「喫茶店で人気者の犬、イノシシに突き殺される…神戸」(http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20051029i507.htm

六甲山ふもとの神戸市灘区篠原北町で22日未明、住民が飼うセントバーナードの「ドンちゃん」がイノシシに牙で突き殺された。

以前から野生のイノシシが出没し、ゴミを荒らしたり、人がかまれたりする被害が相次いでいる地域。人気者だったドンちゃんの無残な死に周辺住民らのショックも大きく、被害拡大への不安の声も広がっている。自治会は注意を呼びかけるチラシを作るとともに、市に要望書を提出し、対策を求めた。

飼い主の男性(32)によると、22日午前0時10分ごろ、ドンちゃん(メス、約60キロ)を連れて散歩中、大型のイノシシ(体長約1・5メートル)が近づいてきて突然、体当たりし、倒れたところ腹部を牙で突き刺したという。

ドンちゃんは、男性が同市中央区で経営する喫茶店の人気者。大きくて存在感があり、人なつっこいことから、客や近所の人に親しまれてきたといい、男性は「13年間かわいがってきたのに、こんなことになるとは……。人が襲われたら取り返しがつかない。一刻も早く対策を取ってもらいたい」と訴える。

自治会の宮本哲副会長(72)は「ゴミ置き場にネットを掛けたり、餌を与えないようにしたりしてきたが、住民の力ではもう限界。対策を急いでほしい」として、市に捕獲などの対策を求めた。

市は「危機的な状況だと思うので捕獲強化に努めたい」としているが、なかなか有効な手だてがないのが実情、という。

市消防局によると、2004年に5人、今年は9月末までに2人がイノシシにかまれたり、逃げる際に転倒したりして救急搬送されており、被害は灘、東灘区に集中しているという。


…私はイヌ好きですので、どうしても「ドンちゃんかわいそう…」という論調でしかこのニュースを語る気になれないのですよ。長年いつくしんできたペットをこんな形で奪われたこの飼い主の方の心中を思うと…気の毒でなりません。「そんなイノシシ、とっととボタン鍋にでもして食ってしまえ!」と1人勝手に義憤に駆られたものです。


他方、神戸新聞では、過去にこんなコラムが掲載されたことあるそうです(http://www.kobe-np.co.jp/shasetsu04/0725ja27190.html)。

野生イノシシ/共存こそ望ましい関係だ

野生の動物は元来、人を見れば逃げるものだが、最近のイノシシはどうなっているのか、気が荒く、とても攻撃的で、何もしないのに人に向かってくるのがいる。

神戸市の住宅街で、女性が相次いでイノシシに襲われた。一人は手の指を食いちぎられる重傷、一人はお尻をかみつかれた。二人ともコンビニエンスストアで買い物をした帰りで、手に提げた白い袋がえさと間違えられ、襲われたようだ。

近年、同じような事故がなぜか続いている。昨年夏には遠来の観光客が六甲山で指を食いちぎられた。同年末にも高校生が暗がりで襲われ、両足に重傷を負った。

六甲山を背にした神戸、芦屋、西宮の山すその住宅街では、山から下りてくるイノシシも決して珍しくない。しかし、これほど人を襲うことはあまりなかった。出没する地域では、夜間外出に注意が要る。白い袋を提げて歩くのは避けるべきだ。

なぜ、攻撃的なのか。それには理由があるはずで、対策を考える上でも解明しておかなければなるまい。

よく指摘されるのは、餌付けの弊害である。特に生まれて間もない“ウリ坊”は愛きょうがあり、えさの一つも投げ与えたくなる。実はそれが間違いの元だ。警戒心をなくしたイノシシは、腹を空かすと本来の野生を発揮し、人を襲う。ペット感覚での餌付けは絶対にしてはならない。

神戸市は二〇〇二年に、野生のイノシシにえさをやることを禁ずる全国初の「餌付け条例」を制定したが、あまり効果は上がっていない。えさをやる人には罰則を課すべきとの意見も出ており、事故が続くと、こうした声が勢いを増すだろう。

県と神戸市は、人里で目につくイノシシは積極的に駆除する方針に転じた。やむを得ない面もある。だが、六甲山に現在生息する数と適正な数を可能な方法で割り出して、適正数を超えるものだけを除くというやり方でないと、理解は得られまい。

同じような問題はツキノワグマやシカでも起きている。但馬、丹波播州の奥の方では、人や農林業への被害は、もっと深刻だ。しかし、それでも、人間との共存に向けた取り組みが行われるべきであり、現に関係者はその努力を払っている。

年に数百万人が訪れる六甲山にイノシシほど大きいほ乳類がいるということは、貴重なことだ。人と野生動物が適度に距離をとって共存してきた証拠であり、それこそが望ましい関係といえないだろうか。

どうすればこの関係を保てるか。そうした建設的な視点で議論を深めるときだ。

…理想論としては「おっしゃるとおり」なんですよ。ただ、現実問題として、被害は続出しているわけなんですから。体重60kgのドンちゃんがあえない最期を遂げたということは…「1歩間違っていたら人間が同じ目に遭って亡くなっていた」ということなんですから。その対策をなおざりにしての「共存」なんてありえないと思うんですよねえ。
いずれにしても、対策に頭を悩ませる神戸市職員のみなさんの苦渋はお察ししますが、一刻も早い抜本的解決策が見つかることを期待せずにはいられません。ドンちゃんの死を無駄にしないためにも。


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