ふと思い出したこと。
もう３年も前の話になりますが。
夏休みを利用して、北海道に出かけたことがあります。
札幌、函館などを観光して回ったほか、念願だった「牧場めぐり」も行いました。
行き先は新冠。
現役時代を知るウマたちと、感動の対面をしてきました。
すっかり真っ白になってたオグリキャップ。
ブヒブヒいなないて周りを威嚇していた態度Ｌのキングヘイロー。
隣の放牧地にいるキングヘイローに遊んでほしくてラチにアゴ乗せて「んー」となごんでいたマヤノトップガン。
その姿にひとしきり感動。
そんななか。
「サラブレッド銀座」と称された、牧場が立ち並ぶ一角の展望台隣に。
１頭のウマが繋養されていました。
どんな素性か、競走馬だったのか否か、いや、名前すら分からない、「名もなきウマ」でした。
そのウマ。
すごくおとなしくていいコだったんですよねえ。
誰かがそばを通りかかるたびに、かまってほしいみたいで、嬉しそうにチョコチョコと寄っていったりして。
穏やかで、とても優しい目をしたウマでした。
↓そんなおとなしいコなのに、おっかなびっくり覗き込んでる私。
競馬シーンを彩った綺羅星のようなスターホースに勝るとも劣らない、ハートウォーミングな思い出を私にくれた「名もなきウマ」。
「いつか、また新冠に遊びに来るから、そのとき再び会えるといいね」。
そう言って、別れてきました。
翌年夏。
台風10号の直撃を受けた北海道は、記録的な被害を受けました。
特に新冠の馬産地の辺りは最悪だったようで、牧場の厩舎が流され、何頭もウマが犠牲になったとのことでした。
そして。
サラブレッド銀座の辺りも泥流で大ダメージを受けたみたいでした。
あの人懐っこかった「名もなきウマ」はどうしているのか。
今となっては、確かめるすべもありません。
無事でいてくれているのかどうかも…。
あの「名もなきウマ」のことを思い出すと、今でも胸が切なくなって仕方がないのです。
