メッ!

かつて『図説・江戸町奉行所事典』(笹間良彦:柏書房)について記したことがありましたが(http://d.hatena.ne.jp/CasparBartholin/20050914#p1)。
今日の話はその続編的なものです。


江戸時代というと、「10両盗めば首が飛ぶ」などと言われたように、犯罪に対しては厳罰を以って臨んでいたような印象が強くあります。
そんな時代ではありましたが。
厳罰ばかりが存在しているわけではありませんでした。


それでは、1番軽い正刑は何だったのかというと。
「呵責」という刑罰がありました。
「呵責」には「叱り」と「急度叱り」の2種類があったのですが。
どんな刑罰かというと…。
罪人の不心得を懇々と諭す」というものだったそうです。
例えば「酔っ払って他人に迷惑をかけた人」とか「ごくごく軽い程度のカッパライ」などにこの刑が適用されたようです。
なるほど、現代に当てはめれば「トラ箱に1晩ブチ込まれたうえで翌朝釈放」という感じですかね。


しかし。
「なーんだ、ただ説教されるだけなら屁でもないじゃん」と思うことなかれ。
町奉行が吟味したうえで正式な手続きを経て決定した立派な刑罰であることには変わりはないわけですから。
「町名主、家主、差添人同道のうえで」叱責を受け、請書に連署させられたそうです。
ただ説教されるのとはチトわけが違ったようです。
のび太のパパのように「いいや、2ページほどやる!」*1ではすまなかったのでしょう。


そして。
最後には「再び犯すと重い刑罰に処すぞ!」とさんざん脅かされたそうです。
再犯防止策ですね。


ちなみに、「叱り」と「急度叱り」の違いについては、ハッキリ調べたわけではないのですが、おそらく「急度叱り」のほうが「より程度の重いもの」だったのでしょう。叱る時間が長かったかどうかは不明です(笑)。


★★そういや「説教強盗」なんてのもいたな。人気blogランキング★★

*1:てんとう虫コミックス第8巻「くろうみそ」の回で「お説教なんて楽しいもんじゃないですからね。あまりやりすぎるとこのマンガの人気が落ちる」というのび太の言葉に対してパパが返したフレーズです。「2ページほど」て(笑)。ちなみに、その2ページほどのお説教のなかで、かの有名な「われに七難八苦を与えたまえと言った人を知ってるか? 山中鹿之助というさむらいだ」というこれまた一部ドラマニア的には有名なセリフが出てきます。自分をはじめ、幼少のみぎりにこのマンガで初めて山中鹿之助を知ったという人は少なくありません。