噴飯モノである!!!

「必修履修せず197人卒業ピンチ 富山・高岡南高」(http://www.asahi.com/national/update/1024/TKY200610240180.html

富山県立高岡南高校(篠田伸雅校長、高岡市戸出町)で、地理歴史教科を選択制としたため、3年生197人全員が卒業に必要な科目を履修していなかったことが24日、わかった。同校は県教委とともに卒業資格取得のための方策を協議している。
同校や県教委によると、学習指導要領では世界史、日本史、地理の3教科から2教科を選ぶことになっていて、世界史は必修となっている。しかし、同校では昨年春ごろ生徒から「受験に必要な教科だけにしたい」との声が上がり、昨年度は3教科から1教科だけの選択でも可能とするようにした。その結果、世界史を履修していないなど、3年生全員が卒業資格を取得していなかったという。
県教委は全員が卒業資格を得られるよう、冬季講習などで集中的に補習を行うことなどを検討している。篠田校長は「生徒に対し、申し訳なかった。十分説明してできるだけ負担にならないよう対応していきたい」と話している。
文部科学省によると、履修には50分の授業が70回必要で、時間数を確保できれば卒業は可能という。

…続報があります。
「高岡南高履修もれ・全3年生卒業ピンチ」(http://mytown.asahi.com/toyama/news.php?k_id=17000000610250002

学校側「勇み足」強調
県教委 全県立高調査へ


3年生全員が卒業に必要な科目を受けていない――。県立高岡南高校(篠田伸雅校長、高岡市戸出町)で発覚した、地理歴史科の履修不足。学校側は受験勉強のためと説明するが、1科目の授業なのに書類上は2科目履修とするなど、認識の甘さに疑問の声があがっている。県教委は受験のために本来の科目と異なる授業が行われていないか、全県立高に調査を指示した。
高岡南高校では、この日、3年生197人全員を集め、問題の経緯を説明した。篠田校長は「結果的に学習指導要領の規定を満たさないことになり迷惑をかけ、申し訳ない」と謝罪したという。
篠田校長の説明によると、世界史の選択制は、現在の3年生が入学する前年の03年10月、各教科の担当教諭や校長らによる「教育課程委員会」で決定した。大学の受験科目で世界史を選択する生徒が少なくなったことから、地歴担当の教師らの提案が元になったという。
世界史を取らなくても、日本史や地理の授業の中で関連事項を学ぶことにより履修したことにする運用方法は、04年度末に考え出されたという。
このため、書類上では2科目履修と記録されているが、県教委は「取り消さざるを得ない」としている。学校側では来週から週に2時間補習するほか、冬休み期間に集中講習を行うなどして、まかなう方針だという。
県教委によると、同校は06年度春の大学入試で国公立大に109人、私立大に270人の合格者を出すなど進学に力を入れている。センター試験まですでに3カ月をきっており、授業増加に生徒からは不満の声があがっている。
一方、県教委は大学受験対策を名目に学習指導要領で定められた科目を履修させなかったことを重視。すべての県立校に対し同様の授業が行われていないかの調査を指示した。
会見で、篠田校長は「教師らの熱意による勇み足だった」と、効率的な受験勉強をめざした教師らの判断ミスを強調した。しかし問題を誘発した必修科目の選択制を1年で取りやめた経緯などについて「特に議論はなかった」など、あいまいな説明も目立った。
県内の受験関係者によると、「指導要領ははっきりしたもので間違えようがない」と話す。一方で、「科目と違う内容を教えるのは、大なり小なり他の学校でもあるだろう」と指摘。「大事な時期に70時間も受験と関係ない授業を受けさせられる生徒がかわいそうだ」。


「試験直前に」「なぜ」 生徒ら憤る声 


午後5時ごろ、体育館で説明を受け終えた3年生が、次々と校舎から出てきた。
ある男子生徒によると、質疑応答で「なんで気づかなかったんですか」「どんな授業をやるの」など、生徒側から憤りや不安の声が相次いだという。
この生徒は「校長の説明は形式ばっているというか、きちんとしていなかった。学校は、もし問題があると気づいていたなら前もって知らせてほしかった」と憤った。
女子生徒は「日本史だけじゃだめなんて、全然知らなかった。みんなも知らないはず。今はただ驚いている。センター試験まであと少しの時期に言われても」と困惑した表情を見せた。
別の女子生徒は「卒業なんか問題にもしてなかったのに。毎日5時間は勉強してるし、受験しか目に入ってなかった。70時間なんて、そんな時間あったら受験勉強したい」と怒りをあらわにした。その上で、「校長は『上から何も指摘がなかったから気づかなかった』と言っていたけど……。(カリキュラムを決めた)前の校長に謝って欲しいです」と続けた。


…いろいろな視点から述べたいと思います。


まず、「受験に必要な教科だけ学びたい」(ていうか「受験に不必要な教科は学びたくない」のほうがニュアンス的に適切なのでしょう)という生徒の要望について。


「元・受験生」という立場からすると、気持ち分からなくもない部分もあるんですよね。特に3年生になったら「学校の授業<<<<<<<<<<受験勉強」であるのは本音、偽らざるところであると思いますし。
自分も「世界史とか政治・経済とか、なんでうちの学校は非受験科目が3年次に必修になってるんだろ」と憤っていたクチです。


でも、でもですね。
受験終わって、大学生になったり、社会人になったりしたときに。
その「非受験科目」で学んだ知識がけっこうモノ言う場面にも出くわすんですよ。
ブーブー言いながらもあのとき勉強してきてよかったな…って。


この時期の受験生が、受験オンリーの近視眼的な価値観でモノ考えてしまうのは、ある種仕方ないのかな…と思えなくもありません(わが身を振り返ってみても)。
それでも、理想論であることを承知で、あえて言います。
「学問の本質って、ちゃうと思うよ」と。
通り一遍でもいいから、やってみてくださいな。ガンガンやる必要なんてないですから。受験勉強の後回しでもいいので。いつの日にか得るところが1つでもあれば、それだけで「めっけもん」ですよ。


で。
生徒からこういう要望があがってしまう心理は理解できますが。
今回のニュースを聞いて「…本当のバカ!」と思ったのは、それに対する学校の対応です。


…なんで生徒が要望したからって、あっさりと容認しちゃうの?
「学習指導要領」知らないの?
仮に知らなかったとしたら、あまりに不勉強。教師の資格ナシです。
もし仮に知ってて「確信犯」でやったのだとしたら、もっとタチ悪い。「罪万死に値する」と言えると思います。


校長は「教師らの熱意による勇み足だった」と発言したと聞きます。
何が「熱意による勇み足」であることか! 生徒が受験オンリーの近視眼的な価値観でモノ考えてしまうのは仕方ないとしても、教師がそんな近視眼的な価値観で軽はずみに行動していいはずないことぐらい自明でしょう! 
「学問の本質」を軽んじた、愚か極まりない行動だと思います。


結局。
教師の軽率な判断によって。
この1番大切な時期に、生徒たちは「非受験科目」の補習を70時間も受けざるをえなくなってしまいました。
生徒の要望を、学習指導要領に鑑みて拒絶していれば、初めからこんなことにはならなかったのです。
つくづく「この教師たちは罪作りをしてくれたもんだ」と思います。


ただ。
生徒たちも。
自分たちがした要望がそもそもの発端だったのですから。
全てを学校の責任に帰するのではなく。
甘んじて措置は受けてしかるべきであると考えます。
もう子供ではないのですから。
たいへんだとは思いますが、頑張って乗り越えてほしいと思います。


そして。
この件にも触れずにはいられません。


今回の1件。
「学習指導要領に全く瑕疵がなかったのか?」というと「?」です。
理系の生徒に「地理歴史科2科目必修」じゃ、いささかキツいのではないでしょうか?
理科の必修科目が「「理科基礎」「理科総合A」「理科総合B」「物理I」「化学I」「生物I」及び「地学I」のうちから2科目(「理科基礎」「理科総合A」及び「理科総合B」のうちから1科目以上を含むものとする)」となっているのと比べると、ハンディがあるのかな…と思わずでもありません。


これを是正するには。
地理歴史科と公民科を統合し、元の社会科にしたうえで。
「世界史A」「世界史B」「日本史A」及び「日本史B」のうちから1科目並びに「現代社会」「地理A」「地理B」「倫理」及び「政治・経済」のうちから1科目」を必修とすればよいかと思います。
地理を学ぶ人には異論あるかもしれませんが、これぐらいのほうが、バランスも取れてますし、教育現場の実情にも沿っているのではないかと思います。


最後に。
再三再四弊ブログで熱弁を奮っているのですが。
…なんで日本の高校なのに、日本史が必修じゃないのでしょうか?http://d.hatena.ne.jp/CasparBartholin/20060210#p1)(http://d.hatena.ne.jp/CasparBartholin/20060228#p2
個人的には、到底納得することができません。
↑の案だって、本音では「「日本史A」及び「日本史B」のうちから1科目並びに「現代社会」「世界史A」「世界史B」「地理A」「地理B」「倫理」及び「政治・経済」のうちから1科目」でもいいぐらいだ、と思っているところなのです。


★★熱く語りすぎました。長文失礼です。人気blogランキング★★