モチさんの光と影(超長文)

ひこにゃんのその後ですが…。
どうやら、事態は複雑な方向へ向かってしまっているようです。


まずはこのニュース。


ひこにゃん彦根市に特別住民登録しました!」(http://hikone-400th.jp/news/2007/11/1109post_92.php


国宝・彦根城築城400年祭のキャラクターひこにゃんが、平成19年11月9日、彦根市へ特別住民登録の手続きを行い、特別住民票の交付を受けました。


登録日時
平成19年11月9日(金)13:30


登録場所
彦根市役所1F窓口
※特別住民登録の手続き終了後、彦根市役所市民課職員から特別住民票の交付を受けました。


登録内容

  • 生年月日・住民となった日 平成18年4月13日(築城400年祭のキャラクターとして愛称が「ひこにゃん」と決定した日)
  • 住所 彦根市金貨亀町1番1号(彦根城所在地)
  • 登録理由 かねてから、彦根市において登録することを考えられていましたが、このたび彦根税務署から、今年の税の申告時に「e-Tax」のPRで貢献したことが認められ、表彰式に出席することとなり、これを機会として特別住民登録されることとなりました。


…そして、こんなニュースも。


ひこにゃん:人気で“延命” 著作権持つ実行委、グッズ販売を認める /滋賀」(http://mainichi.jp/area/shiga/news/20071110ddlk25040310000c.html

◇築城400年祭閉幕以降も
「国宝・彦根城築城400年祭」の人気キャラクター「ひこにゃん」グッズについて、著作権を持つ同祭実行委は9日、同祭閉幕の25日以降も来年1月15日までは過渡期に使用を認めることを決めた。ひこにゃんが来年度に開かれる「(仮称)日米修好通商条約締結150周年」記念事業のキャラクターになることも決定。業者に新たに使用申請を求めることにした。
ひこにゃんは昨年4月にデビューし、人気が急上昇。実行委は同祭PRのため、申請があれば、「閉幕まで」の条件付きでグッズなどへの使用を無料で認めてきた。キャラクターやロゴのグッズなどの使用申請は1000件以上になるが、先月25日付で実行委会長名で「使用期限」の厳守を通知。在庫を持つ製造元や販売業者だけでなく、ファンからも「何とか延命を」との声が出たため、実行委が検討していた。
その結果、閉幕後の26日からは400年祭のキャラクターとしては使えないが、過渡期措置として「ひこにゃん」グッズは来年1月15日まで販売を認めることにした。
その後、日本を開国に導いた幕末の大老で十三代彦根藩主・井伊直弼を顕彰するため、来年7月29日の「日米修好通商条約締結150周年」を中心に記念事業を企画。そのキャラクターとして「ひこにゃん」グッズなどへの使用を認めることが了承された。
150周年事業の日程や内容は今後、新たに実行委を立ち上げて練るとともに、グッズの承認基準も早急に決める方針。【松井圀夫】


…「日米修好通商条約締結150周年」というのはかなーりムリヤリ感がありますが(笑)*1、まずはめでたい、これでグッズ問題も収束化していくかな、と思っていたら。
今度はそれを吹き飛ばすような超ド級のニュースが!


ひこにゃん:商品展開続々「待った」 作者が民事調停申し立て 「営利目的おかしい」」(http://mainichi.jp/kansai/news/20071110ddn041040019000c.html

◇人気キャラクター・ひこにゃん
滋賀県彦根市で開催中の「国宝・彦根城築城400年祭」(3月21日〜11月25日)のイメージキャラクター「ひこにゃん」を巡り、キャラクター作者の男性デザイナー「もへろん」さん(22)=大阪市=が彦根市と同祭実行委に対し、彦根簡裁に民事調停を申し立てていることが9日、分かった。同市はこの日、400年祭貢献への感謝と閉幕後も活躍してもらおうと、ひこにゃんに特別住民登録をして住民票を交付したが、申し立ては、閉幕後の商標使用の中止などを求めており、調停の行方が注目される。
申立書などによると、もへろんさんは実行委が05年11月、制作費100万円で公募したシンボルマーク、ロゴ、キャラクターのデザインに応募。座り姿、跳ねる姿、刀を持つ姿の3パターンの図柄が採用された。
募集要項は「キャラクターの一切の著作権は実行委に帰属する」「同委が許可した団体等のホームページや出版物、PR用ツール等に対して自由に使用する」と規定。しかし、彦根市が今年3月、ひこにゃんの商標登録を申請。さらに、実行委は三つの図柄以外の類似デザインや、ないはずのしっぽがあるぬいぐるみなどの立体商品、「ひこにゃん音頭」など音楽CDの発売も承認した。キャラクターやロゴの使用申請は1000件以上にのぼる人気になっている。
これに対し、もへろんさんは「祭りのPR目的を超えて営利目的で利用され、募集要項に反する」などと主張し、使用承認の取り消しを求めている。さらに、実行委がひこにゃんの性格を「お肉が好物で、特技は、ひこにゃんじゃんけん」などと設定した点も「作者が意図しない性格付けを黙認してキャラクター管理を放置している」と批判している。
もへろんさんは今年3月、同市と実行委あてに「もへろんのお願い」と題した要望書を出し、「作者にとってキャラクターは魂を吹き込んだ子どもそのものであり、良い形で長く生き続けることを願っております」とつづっていた。
第1回調停は今月19日、彦根簡裁で予定されており、同市と実行委は「営利目的の業務とはとらえていない。弁護人と協議して今後の対応を考えたい」としている。【松井圀夫、豊田将志】


(写真:滋賀県彦根市役所で、特別住民票を受け取る「ひこにゃん」。商標使用を巡り、調停に持ち込まれた=2007年11月9日、松井圀夫撮影)


…別の新聞にも掲載されていました。


「グッズ販売中止回避したのに… ひこにゃんまたトラブル」(http://sankei.jp.msn.com/region/kinki/shiga/071110/shg0711100301002-n1.htm

彦根市で開催中の「国宝・彦根城築城400年祭」のマスコットキャラクター「ひこにゃん」が9日、明暗合わせて3つの出来事に遭遇。期限が迫っていたグッズの販売中止は回避され、「本人」も市民権を得たものの、原作者が市などに商標使用の中止などを求めるという新たなトラブルを抱えることになった。
ひこにゃんのキャラクター使用権は25日までの「400年祭」の期間中という条件で、申請があれば市と実行委が無料で承認してきた経緯がある。ところが市は、期限切れ後の申請を受け入れる窓口を設けていないのに、グッズを取り扱う業者らに25日限りでの販売中止を求めていた。
業者らの困惑の中で、9日開かれた実行委は、業者らが現在受けているキャラクター使用許可を来年1月15日まで延長。その後の窓口は、市が来年開催を予定している「日米修好通商条約締結150周年記念イベント」の実行委に引き継ぐことを決めた。これによって、ピンチに陥っていたグッズ販売が続けられることになった。
さらに、ひこにゃん自体も、「祭りのキャラクターとして、彦根観光に貢献した」として住民登録が認められ、市から特別住民票を交付された。
一方、ひこにゃんの原作者である大阪市北区末広町イラストレーター、もへろん=本名・櫻井瑛=さん(22)がこの日、「400年祭」終了後の商標使用中止などを求める調停申立書を、市と実行委に通知した。申立書は6日付で彦根簡裁に提出されている。
申立書は、市が出願中の商標使用の中止、みやげ物業者らに許可したキャラクター使用承認の取り消し、相当額の金額の支払いを求めている。
これに対して市は、ひこにゃんに関する所有権・著作権など一切の権利は、公募したデザインを平成18年1月に選定した段階で、実行委がイベント企画会社から100万円で買い取っているとして、「原作者とは直接交渉していないのだが」と困惑。獅山向洋市長は「弁護士と相談して対応を考えたい」としている。


…市の言う「権利は100万円で買い取っている」という主張も分からなくはありません*2
また、作者のもへろんさんの言う「作者にとってキャラクターは魂を吹き込んだ子どもそのものであり、良い形で長く生き続けることを願っております」との思いもまたよく理解できます。


だからこそ。
それぞれの言い分があるにせよ、心を尽くして話し合って、双方納得のいく形で落としどころを見つけてもらえれば…と願ってやみません。
1番恐れていることは、話し合いがこじれた結果、せっかくこの世に生を受け、これだけ多くの人に愛されることになった1匹のネコの存在が未来永劫闇に葬り去られてしまうことです。
そんな事態だけはあってほしくありません。
どうか、ひこにゃん(含むもへろんさんの描く絵本の「よいにゃんこ」)が、曇りなく、今後もみんなに愛されるキャラクターであってくれ続けますように…。


…と。
ここまで書いてから。
mixiひこにゃんコミュニティーで、もへろんさん側のコメントを発見しました(無断転載失礼いたします)。

いつも応援をありがとうございます。
一番作者が避けたいと思っていた事になってしまいました。
こういうことにならないように・・・とのこちらの思いがすべて無視された
結果がでてしまいました。


新聞各社がしっかりと情報を得ないまま、間違った事を書かれるのがつらいです。
著作権問題はむつかしく、実行委員会も理解しておりません。
3パターンをそのまま使用してください(アレンジは不可)と言う事で契約しておりましたが、
1年前からグッズの承認の出し方がずさんで、これでは商品を作る業者の方に
大変な御迷惑になります。


●デザインをきちっと作者が監修させてほしい。
 (むちゃくちゃなひこにゃんが出来ています!)
 (試作品をチェックに持って行ったキチンとした業者は、実行委員会に「そんなの、わからん!」といわれたそうです)


●使用期限を初めに知らせなければ生産数量も設定出来ない。
 (使用期限を伝えていないので業者はこまっています。まるで生産者のことは考えられていません)

その他、目に余ることがドンドン出て来てこれではキャラクターがかわいそうなので
きちんと開発して育てていく方策を考えてください!と1年も前から企画会社と実行委員会にはお願いをしていましたが
まったく無視されて来ました。


意見を聞く耳を持たない彦根に話し合いの場に出て来てもらえるのには
弁護士に登場していただかないといけなくて今回の運びになったのですが、
申し入れは今年の初めから何度も、きちんとしておりました。


金銭的な要求や、商品を販売中止にしろ!とか作者側は1度も言った事は
ありません。
それどころか、雑誌取材で「作者のコメント」を求められ、
やっとの思いで書いて提出したものが、実行委員会の声でカットされたことが2度程あり、余りの非礼さにすっかり怒っております。


作者はキャラクターは、うれしい、思いを伝達しなければその使命を果たせないし自分の分身でもある。
求めてくださるお客様はもとより、グッズをつくる業者もきちんとした利益がでて、
関わって「うれしい、よかった」と言っていただける為に・・・と願っております。


正しい心でキャラクターを生み出す作者の姿勢は今後も変わる事はありません。


なお、著作権は作者に人格権があり、様々な創作ができ、これは法的にも譲る事はできません。
(この件は、彦根の弁護士も良く御承知ずみです)


これからも、もへろんをよろしくおねがいもうしあげます。


代理人  (株)桜井デザイン

…もへろんさんも、ひこにゃんを愛するがゆえに起こしたアクションだったのだ、ということがよく分かります。
それだけに…なおのこと、ひこにゃんを取り巻く全ての人たち、そして誰よりもひこにゃんにとってよい結末が訪れることを祈念してやみません。


★★渋谷で開催中の「ひこねのよいにゃんこ展」にも行ってみたいなあ。人気blogランキング★★

*1:この話を聞いた妻は「…ふーん、『日米修好通商条約締結150周年』ねえ。じゃあ、再来年は安政の大獄150周年』、その次の年は桜田門外の変150周年』のマスコットになるのかしら」と言っていました。いや、いくらなんでもそれはまずいんじゃ…。

*2:通常は「今後、キャラクターに関する一切の著作権彦根市に帰属します」という1文が付されるはずなんですけどねえ…。ただ、仮に彦根市側がキャラクターの使用期限を「400年祭終了の平成19年11月26日まで」と限定していたとすれば…それ以降についてはもへろんさんが権利を有してもおかしくはない理屈になるのかもしれません。