風立ちぬ

…いろいろと語るべきことの多いレースでした。


まずは勝ったレッドディザイア。状態面もさることながら、四位洋文騎手のまたとない好騎乗が光りました。そこに僅かなミスが存在していたら、あのブエナビスタとのハナ差は逆転していたに違いありません。もちろん、ウマを完璧に仕上げた松永幹夫厩舎もお見事でした。大好きだったキョウエイマーチを「桜の女王」に導いてくれたミッキーは、トレーナーになってもなお「牝馬のミキオ」でしたね。
一方のブエナビスタ。あの展開で勝ち馬をここまで追い詰めることができたことで、ウマ自身の持つ実力が抜けていることはあまねく証明できたと言っていいでしょう。自信を持って「消した」自分でしたが、ゴール直後は「…やっぱりやられたのか」とグゥも出ませんでした。さすがの一言に尽きます。ただ…やはり「京都内回り2,000m」が向かなかったのもまた事実でしょう。東京とか阪神とか直線長いコースなら自慢の切れ味が活かせてよいと思います。
◎のブロードストリート、いや、あの不利があって3位入線(繰り上がって2着)は素晴らしいと思います。◎を打ったのは間違いではなかった…と納得させられるレース内容でした。それだけに「あの不利がなければ…」と陣営は諦め切れないでしょうね。


さて。
ここからが問題提起です。
議題はもちろん「ブエナビスタ降着について」です。


何が納得いかないって。
JRAの裁決が不透明で一定していないのが、1番のモヤモヤなのだと思います。


今回のレース。
仮にハナ差出ていたのがブエナビスタのほうだったとしても、彼女は降着になったのでしょうか?
「史上3頭目牝馬3冠達成!」という状況でも、毅然と彼女に処分を下せたのでしょうか?


みんな思っているはずです。
「もしそうだったとしたら、ブエナビスタ降着にはならなかったんじゃないかな…」って。
安藤勝己騎手にだけ騎乗停止処分が下されるか、あるいは「過怠金100,000円」でケリがついたんじゃないかな…って。


あくまで「想像の域を出ない話」です。
ただ…「さもありなん」と思わせてしまうところが、JRAの裁決がダメダメなところなのだと思います。
2008年オークスでトールポーピーが結局「お咎めなし」だったこと*1を思い出してみてください。


ここいらへんの裁決基準が曖昧であるところを。
藤田伸二騎手が、きさらぎ賞のときに激怒していたのだと思います*2
そして、それらの裁決に至る過程が、一般に適正に開示されていないところもまた、問題大ありな部分なのだと思うのです。


JRAは。
いい加減で、このあたりを真剣に考えていかないと、本当にヤバいと思います。
いつまで「親方日の丸」的な姿勢でいるつもりなのでしょうか?
命を賭けて走るウマたち、真剣にレースに臨む騎手や厩舎スタッフたち、そして、何よりファンに対して、あまりにも誠意を欠いていると思わないのでしょうか?


また。
安藤勝己騎手についても、少しだけ触れたいと思います。


彼が優れた騎手であることは言うまでもありません。
それには異論を挟む余地なしです。


しかし。
しかし…です。
彼、このテの「スレスレの騎乗」案外少なくないんですよね。
今回はブロードストリートに(今のところ)何事もなかったのは幸いでしたが、これでもしブロードストリートが故障でもしたり、藤田騎手が落馬でもしたりする事態になっていたら…。想像するだにゾッとします。
裁決に不満がなきにしも…という報道もされましたが、「やってしまった」ことに対しては真摯に振り返っていただければ…と思います(我々外野には分からない何かがある可能性もなきにしも…ですけど)。


最後に…(仮想の)馬券勝負について。
「試合に負けて、勝負に勝った」、そんな印象です。自信を持ってブエナビスタを無印にしましたが、内容的には完敗の一言です。彼女を実力どおりに評価していなかったと言わざるをえません。結果としての勝利、素直には喜べないところです。
ちなみに…GI(級)での「2着馬の降着」は1996年エリザベス女王杯でのヒシアマゾン(7着に降着)以来ですが、あのときも自分…「降着に救われた」クチだったんですよね。◎は1着ダンスパートナー。しかし2位入線のヒシアマゾンは無印。一方、3位入線で2着に繰り上がったフェアダンスにはダンスパートナーからかなり手厚く流していました。あれから13年、ちょっとした既視感でした。


★★今週末はスッキリとした決着を望まずにはいられません。人気blogランキング★★

*1:乗っていた池添謙一騎手が「危険な乗り方であった」と騎乗停止になったにもかかわらず、です。

*2:きさらぎ賞についてのエトセトラはこちら(http://d.hatena.ne.jp/CasparBartholin/20090218#p1)をご参照ください。