スワンソング

人が世を去るときに詠む「辞世の句」。
いろいろと人口に膾炙した作品がいくつかあります。


有名なのは、松尾芭蕉の詠んだ

旅に病んで夢は枯野をかけめぐる

という句でしょうか。


彼とともに『奥の細道』の旅をした河合曽良の辞世の句は

春に我乞食やめても筑紫かな

だそうです。


俳句ではなく短歌ですが、浅野内匠頭切腹に際して詠んだ

風さそふ花よりもなほ我はまた春の名残をいかにとやせむ*1

という歌も著名です。


一方、討ち入りで知られる四十七士のリーダー大石内蔵助が詠んだ辞世の歌は

あら楽し思いははるる身は捨つる浮世の月にかかる雲なし

だったようです*2


ちなみに、本日の表題に使わせていただいた加賀千代女の辞世の句は、石川県白山市*3のHPによると

月も見て我はこの世をかしく哉

とのことです(http://www.city.hakusan.ishikawa.jp/kyouiku/bunka/senzin/chiyojyo1.jsp)。


人は、最期の瞬間をどのような心境を迎えるかで、辞世の句は如何様にも変化してくると思います。
願わくば、晴れやかな気持ちで、辞世の句の1つでもひねり出せるような臨終を迎えられれば、と。


十返舎一九の「この世をばどりゃおいとまに線香のけむりと共にはいさようなら」という歌も洒脱でいいなあ。人気blogランキング

*1:文献によっては最後の句が「いかにとかせむ」となっているものもあります。この短歌は、内匠頭切腹の検死役副使となった「多門(おかど)伝八郎」の日記から広く知られるようになりましたが、彼の創作であるという説もあります。

*2:もっとも、この歌ではなく「極楽の道はひとすぢ君ともに阿弥陀をそへて四十八人」であったという説もあります。しかし、圧倒的に有名なのは「あら楽し…」のほうの歌です。

*3:平成17年2月1日、松任市美川町鶴来町河内村吉野谷村鳥越村尾口村白峰村の1市2町5村が合併して誕生した市だそうです。ちなみに、合併により総面積は石川県全域の18%を占め県内最大の自治体となったそうです。また、人口は金沢市に次いで石川県第2位だそうです。