どうも思い出されるのは「大岡越前」と「遠山の金さん」だけなのですが…

最近読んだ面白い本。
『図説・江戸町奉行所事典』(笹間良彦:柏書房
図説・江戸町奉行所事典


江戸時代の裁判制度から江戸町奉行職掌、訴訟・裁判について、そして牢獄や拷問、はたまた刑罰について、コンパクトにまとめた割にはヴォリューム感あふれる1冊です。挿絵や写真がふんだんに使われているので、流し読みしても充分楽しめます。


牢内の挿絵では、いわゆる「牢名主」の絵が個人的にはヒット。漫画に出てくるのと同じに、ホントに何枚も重ねた畳の上に鎮座ましましてるんですよ。


拷問の種類の説明もスゴいです*1。「笞打ち」「石抱き」「海老責」「釣責」…全て挿絵入りです。
「釣責」の項にはこんなこと書いてありました。

また婦人には胸へ縄をかけるときに乳房の上へはかけてはならなかった。婦人の乳房は急所であって、その上へ縄をかけて緊め上げたらそれだけで絶息してしまうからである。
「拷問実記」のように着物は上半身脱がせるのが正しい。(中略)女性だと腰巻一枚にして足首をそれで包み込んでから縛る。そうしないと苦痛のあまりに足をばたつかせて見苦しく、時には内股を露出したりする。


…ありゃま。


まかり間違っても「亀甲縛り」などはしなかったみたいです。人気blogランキング

*1:大岡忠相が制定した「御定書百箇条」によると、拷問は上記の「笞打ち」「石抱き」「海老責」「釣責」の4種類とされ、全て立合役人数人の監視のもとに行われるようになっていたとのことです。で、それ以外の拷問が全く行われていなかったかというと…そうでもなかったようです。自白を強要するためなどにしばしば規定外の拷問が行われていたようで、幕府も黙認状態だったようです。