一葉忌
樋口一葉というと、思い出してしまうエピソードがあります。
明治26年(1896年)11月3日というので、亡くなる20日前の話です。
見舞いに来た馬場孤蝶が、冬休みにまた上京するので、そのときまた来ると一葉に語ったところ、こう言ったそうです。
「その時分には私は何になっていましょう。石にでもなっていましょうか」
なんとまあ、はかなげで、透き通るような臨終の言葉ではないでしょうか。
全くの余談ですが。
近代文学の世界では、かなり真面目に「一葉処女説・非処女説」が論じられています。
それによって、作品の読み方が変わってくるのだとか。
ちなみに、瀬戸内寂聴は『炎凍る 樋口一葉の恋』という評伝のなかで「非処女説」を採っています。