続・レミゼ!

…というわけで、つづきです。


新妻聖子さんのエポニーヌ、というか『On My Own』はやはり感動モノでした。
YouTubeに落ちていた、「4年前の彼女が歌っている」と推測される『On My Own』とは比べ物にならないぐらい、表現力豊かで、かつ声量のある素晴らしい歌唱でした。


エポニーヌって、マリウスという青年に想いを寄せているのに。
マリウスは偶然出逢ったコゼットに一目惚れしてしまい。
あまつさえ、戦い前夜に「コゼットへの恋文を届けてくれないか」と、こともあろうにエポニーヌ自身が頼まれてしまうんですよね。


それでも。
その手紙を届けてしまう(結果として、コゼットにではなく、庇護者であるジャンバルジャンに手渡す形にはなるんですけど)エポニーヌ。
「…え、それでいいのアナタ?」と思わず問いかけずにはいられない展開です。


で、結果として、エポニーヌは手紙を渡しに行った帰途に銃弾を受け、マリウスの腕の中で息絶えるのですが。
「…なんで? ねえなんで? それでよかったのアナタ?」と問い掛け続けずにはいられませんでした。
だって…最後にはマリウスはコゼットと結婚しちゃうんですよ。そんな自己犠牲の愛の形なんて…と思わずにはいられませんでした。


そんな彼女が。
手紙を渡した直後に心に秘めた思いを歌い上げる曲、それが『On My Own』です。

また あたしひとり 行く処もないわ
暖かい家も あたしどこにもない
もう夜だね 今夢をみよう
人みな眠る夜 ひとりで歩こう
あの人思えば 幸せになれるよ
街は眠り あたしはめざめる
ひとりでも 二人だわ
いない人に抱かれて
ひとり朝まで 歩く
道に迷えば みつけてくれるわ
雨の舗道は銀色 川も怪しく光る
闇は 樹に星明り
見えるのは どこまでも二人だけ
知ってる 夢見るだけ
話相手は自分だよ
あの人なにも知らない だけど 道はある
愛してる でも夜明けには いない
川もただの川
あの人 いない世界は
街も樹もどこも他人ばかりよ
愛しても 思い知らされる
一生 夢見るだけさ
あの人あたしをいらない
幸せの世界に縁などない
愛してる 愛してる
愛してる でもひとりさ

…暗い舞台の上で。
新妻聖子さんは、この曲を、ひとりきりで歌い上げていました。
魂を揺さぶられるような歌声でした。


4年前。
5,000人を超えるオーディションを勝ち抜いてエポニーヌ役を射止めて、ミュージカルアクトレスの道を歩み始めた彼女。
そんな彼女を、昨年偶然から知って、その歌声に魅せられてきましたが。
全てはこの曲から始まったのだといっても過言ではありません。


進化を続ける、彼女の『On My Own』。
ぜひまたいつの日にか聴く機会を得たいと切に思いました。


★★ちなみに…私、原曲と同じキーでこの曲歌うことできます。米良ばりのカウンターテナーですが。人気blogランキング★★