受験生時代を思い出さずにはいられない。

讒謗律
「漢字で書くべきものを平仮名で書いた場合は不正解とする」という“鉄の掟”が存在する「受験日本史界」において、「全ての受験生を最も苦しめた日本史用語」であると言っても過言ではないでしょう。


かく言う自分も。
かつて「出題される問題が全て日本史」というクイズ大会を主催するに当たって。
第1ラウンドのペーパークイズで、こんな問題を出題したことあります。

Q.明治8年6月28日、太政官布告第110号として「新聞紙条例」とともに公布された、日本で初めての名誉毀損に関する法令といえば何?

…よくよくイジワルです自分。
もっとも、受験の日本史と違って、クイズ大会のペーパークイズでは大抵「平仮名で書いても可」という独自のレギュレーションが準用されるので、さほど参加者の皆さんは苦しんでいなかったようです。ほとんどの方は「ざんぼうりつ」と平仮名で書いていらっしゃいましたし*1


そういえば、そのペーパークイズで自分「棄捐令」も出題してましたっけ。「棄令」という誤字が後を絶たないことで受験日本史業界ではおなじみの用語です。受験生の皆さんは松平定信に文句の1つでも言いたい心境かもしれませんね。「松平定信に散々苦しめられて、ウゲーと言わされた」…というわけで、彼の自叙伝のタイトルは『宇下人言』*2と覚えておきましょう(←我ながらくだらん…)。


「讒謗律」に関して、余談をいくつか。


讒謗律は、全8条からなる法律です。
第4条に「官吏に対する讒謗」の罪が規定されていたことから、しばしば新聞弾圧のために使われたことで知られています。
明治23年(1890年)7月17日の旧刑法公布に伴い、同法に吸収される形で廃止となりました。


ちなみに。
同時に制定された「新聞紙条例」は、太政官布告第111号です。フィーバー。


★★「受験生時代」なんて、遠い遠いケンタウロスよりも遠い昔のことのような気がします。人気blogランキング★★

*1:が、中には「日本史マニア」のプライドにかけて漢字で書いて正解していた方もちゃんといらっしゃいました。…私ですか? ええ、そりゃもう、参加していたとしても、素で書けません。余裕で。

*2:「うげのひとこと」と読みます。ちなみに、「宇下」は「定」、「人言」は「信」…と、タイトルは「定信」という名前の漢字2文字を分解してつけられたものであると言われています。