こんな卑近なところにネタが転がっていた。

日本史マニア、かつ古墳マニアの自分のハートをズキュンと射抜くニュースが転がり込んできました。


「塚越古墳 実は前方後“方”墳――墳丘が残る同様の古墳としては県内でも最大規模」(http://www.townnews.co.jp/020area_page/01_thu/02_hira/2007_3/08_09/hira_top2.html

市内北金目の「塚越古墳」(遺跡番号・平塚市No.8)が、市教育委員会によってこのほど実施された調査において、同古墳が「前方後方墳」であることが明らかになった。同形状の古墳としては相模国領域内(横浜・川崎を除く県内エリア)では最大規模のものとなる。
約4世紀終わりごろに築造された塚越古墳は、初めて調査が行われた昭和33年当時から、墳丘の形状により「前方後円墳」と認識されてきた。しかし平成6年から7年にかけて県教育委員会が行った古墳周りの溝(周溝)の形状調査で、同古墳は後方部分も四角状になっている「前方後“方”墳」の可能性があると指摘されていた。
今回、市は古墳の形状を反映する周溝内側の調査を実施。7月23日から25日までの3日間で、土の色や質等を調べ、前方後方墳であることが確定した。
市内には現在、4つの前方後円墳が確認されているが、前方後方墳は唯一。周溝を含めると約58mとなる塚越古墳は墳丘が残る前方後方墳としては県内で最大規模の古墳となる。古墳時代前期と言われる塚越古墳は金目川周辺を治めていた首長のもので、当時その地帯一体を見渡せたであろう位置に築かれている。
市では「今後塚越古墳を保存・活用するに当って、きちっとした認識が必要な為の調査でしたので、円墳、方墳で価値が変わるといったものではありません。ただ、一般的な前方後円墳と異なる後方墳は、独自性を想定させる地域の歴史には欠かせない貴重な文化財です」と話している。


平塚市のホームページにも、教育委員会よりのプレスリリースが掲載されていました。


「塚越(つかごし)古墳の周溝確認調査 相模国領域内で最大規模の前方後方墳(ぜんぽうこうほうふん)と確定」(http://www.city.hiratsuka.kanagawa.jp/press/pre20070099.htm

調査機関 平塚市教育委員会


調査日時 7月23日から7月25日までの3日間


調査場所 平塚市北金目 塚越古墳(遺跡番号 平塚市No.8)


調査目的
古墳の形態を解明することによって歴史的な位置付けを明確にし、保存・活用に際して基礎資料を得るための周溝の範囲確認調査


調査経緯と結果   
古墳時代前期に築造された塚越古墳は、昭和33年(1958年)の調査当時より墳丘の形から前方後円墳と認識されてきました。しかし、平成6年(1994年)12月から平成7年(1995年)3月にかけての神奈川県教育委員会の調査によって、周溝外側の形状から前方後方墳の可能性が指摘されました。平成15年(2003年)3月に実施した平塚市教育委員会による調査は、周溝外側の範囲確認を目的としたこともあり墳形の確定までにはいたりませんでした。
そこで今回、古墳の形状を反映する周溝の内側を3箇所確認しました。このうち南に設けた調査区では前方部から後方部へのつながりを確認し、残りの2箇所と過去の調査成果より前方後方墳であることが確定しました。また、現在残る墳丘の形は近世になってから部分的に削平を受けているものの、周溝の保存状態は良好で古墳の形態を現在まで伝えてくれることも分かりました。なお、今回の調査は遺構の範囲確認が目的であり周溝を掘っていないため、古墳に伴う遺物は出土していません。


所見
墳丘が残る前方後方墳は県内でも数が少なく、横浜市戸塚区の東野(ひがしの)台(だい)古墳群2号墳、横浜市青葉区稲荷前(いなりまえ)古墳群16号墳、海老名市の秋葉山(あきばやま)古墳群4号墳、茅ヶ崎市十二天古墳群1号墳など数えるほどしかありません。さらに塚越古墳は周溝を含め長さおよそ58mで、前方後方墳として相模国領域内で最大の規模を誇ります。
塚越古墳のような4世紀の年代が与えられる古墳は、河川がもたらした肥沃な耕地を生産基盤とする首長の政治的支配の出現を意味し、ヤマト政権との関わりや、地域の成り立ちを考えるうえでも欠かせない貴重な文化財といえます。特に前方後方墳は一般的な前方後円墳と異なり、独自性を想定させる地域の歴史には欠かせない遺跡です。


…なんて刺激的なネタ!!!
平塚市といってもかなり市域は広いので、我が家からは相当離れたところにあるんですけど、これはぜひ1度ナマで見学に行かねば。


確かに、「前方後方墳は一般的な前方後円墳と異なり、独自性を想定させる地域の歴史には欠かせない遺跡」という指摘はもっともですね。古墳時代当時の東国と大和政権との関わりなんて考えるだけで…いろんなことが想定できそうでワクワクしてきます。
こういうニュースに胸躍らせる自分を省みて「…本当は文献史学より考古学のほうが向いているのかもしれないなあ、自分」と、最近とみに自問自答している命題にまたブチ当たってしまったりなんかして。…早く修士論文のテーマ再構築しないとなあ。


…そういえば。
前方後方墳といえば。
1年ほど前、寝ぼけて妻に「…前方後方墳がツラい」と寝言ほざいたことがあったことを思い出してしまいました(http://d.hatena.ne.jp/CasparBartholin/20060728#p1)。
全てはこの日のための伏線だったのでしょうか?(←そんなことない)


★★考古学特殊研究の最終試験の結果が気にかかるところ(他の科目もレポート書け自分)。人気blogランキング★★