あなたを忘れない。

…というわけで、試合編です。


この日の先発はダルビッシュ
球場に着いたら、ファイターズ選手はシートノック中。
↓ダルも、目の前でキャッチボールをしていました。


この日の始球式は、あの「親分」こと大沢啓二元監督。
なんと、御年75歳でいらっしゃるにもかかわらず、ほぼストライク(に見えた)球をキャッチャーまで放っておられました。
鉄人すぎ。


試合のほうは。
1回ウラ、3塁打で出た田中賢介を稲葉がシブい当たりで帰して先制し。
2回ウラには金子誠のホームランが出て、2−0。
その後は、ダルビッシュ田中将大の両先発投手が締まった投球を続け、緊迫した投手戦となりました。


ダルビッシュがピンチを迎えたのは、6回表。
連打を浴び無死1・3塁。
打席には、現在パ・リーグのホームランキング争いでトップをひた走る、山崎武司選手。
1番イヤな場面で、1番イヤな選手に…と祈るような気持ちで見ていましたが。
ダル、踏ん張って三振!
今日は完全に山崎選手を抑え切りました。
続く磯部公一選手は、当たりよかったものの、ファーストセギ様の真正面に飛ぶライナーで、1塁ランナーの草野大輔選手戻れずにダブルプレー。虎口を脱しました。


続く7回表も。
無死1・2塁のピンチに。
大廣翔冶選手のピッチャー前への送りバントを、ダル躊躇なくサードへ。
ボールは3塁小谷野から1塁ベースカヴァーの賢介へと送られ、またもダブルプレー
この逆境において、冷静かつ的確な判断を下したエース。本当に恐ろしく頼もしい存在です。


そして。
7回ウラ。
工藤隆人が2塁打を放ち、続く紺田敏正送りバントを決め、1死3塁、バッターボックスに金子誠…という局面で。
ネクストバッターズ・サークルに現れた彼の姿を確認するや、ドームのライトスタンド・1塁側内野席の日本ハムファンから大歓声が上がりました。


誠がフォアボールを選んだところで、場内に響いた。
「代打・田中幸雄」のコール。


ヴォルテージは最高潮に達しました。
当然我々はスタンディング・オヴェーション。「幸雄最後の東京ドーム」を見届けるべき、当然の礼と言えるでしょう。

行くぞ幸雄ホームラン
センターオーバーホームラン
弾丸ライナー
飛ばせ運べ幸雄

東京ドームに響き渡る幸雄の応援歌。
今日で最後か…と思うと、万感迫るものがありました。


果たして。
田中将大が渾身で投じたはずだったボールを打ち返した幸雄の打球は。
ライト前に痛烈な当たりとなって飛んでいきました。
幸雄通算2,010本目のヒット、そして、結果として東京ドーム最後となったヒット*1は、楽天から貴重な3点目を奪い、好投していた田中将大をマウンドから引きずり降ろす、値千金の一打でした。


涙が出そうになりました。
自分は、なんて貴重な瞬間に立ち会うことができたんだろう。
長年このチームを応援してきたけど、こんな感動的な場面にめぐり合えたことはなかった。
野球の神様に感謝したい。
…そう思えてなりませんでした。


試合は、この幸雄のヒットを境に、完全に日本ハムペースに。
賢介のランニングホームランまで飛び出し。6−0と勝負ありの様相に。


ダルビッシュは。
9回こそ金森敬之にマウンドを譲ったものの、1点も許さず、15勝目を上げました。


「…2点で僕としては十分だったので」。
ヒーローインタヴューで、涼しい顔してうそぶいてくれたダル。
自分は前日に「3点取れればOKだと思うんですよね。ダルだし」と書きましたが…その上を行く発言。ホント、頼もしい存在です。あと2回登板が予想されるダル、ぜひ残り試合もこの調子で投げ切ってくれればと願ってやみません。


…そして。
ダルのインタヴューが終わり。
オーロラビジョンに映し出される、22年間の彼の雄姿。


幸雄が東京ドームの日本ハムに告げる、最後の挨拶です。


「…この場をお借りしまして、皆様にご報告したいことがあります。ファイターズ・田中幸雄は、本シーズン限りをもちまして、現役を引退することとなりました。22年間本当に、熱い声援ありがとうございました。…この東京で、後楽園球場2年、東京ドーム16年、札幌ドーム4年と22年間、また1年目から試合に出していただけるありがたい経験をさせてもらいまして、22年間、幸せな現役生活を送ることができました。また、今年5月17日に、念願でもありました、2,000本(安打)を達成することができて、本当にありがたく思っております。そして、何よりも、温かいファンの皆様に、声援をいただいて後押しを受けて、また、素晴らしいチームメイトと一緒に、ずっと試合をやることができました。本当に、幸せな野球人生を送れて、幸せに思っております。本当にありがとうございました。それと、昨年、自分の目標でもありました、優勝をすることができて、非常に嬉しく思っており、また今年も、そのチャンスがあると思います。残り11試合ですけれども、チーム一丸となって、自分も与えられた仕事をしっかりやり、精一杯優勝に貢献できるよう頑張っていきたいと思っています。残り少ないシーズンですけれども、皆さんも、選手とともに、優勝に向かって一緒に応援してください。本当に、22年間ありがとうございました」


オーロラビジョンに映し出された幸雄の目は。
↓真っ赤でした。

それを見た自分は。
また泣きそうになって、必死になって堪えました。


そう。
今日の勝利で、クライマックスシリーズ進出こそ確定したものの。
まだまだ「優勝」が決まったわけではありません。


22年の長きにわたってチームに貢献してくれた幸雄を最高の形で送り出すためにも。
「2年連続の日本一」。
これしかありません。


深々と一礼して、ベンチに下がろうとした幸雄は。
促されて、ライトスタンドのファンに挨拶したものの。
足早に帰って行こうとしました。


そんな幸雄を。
ヒルマン監督、そしてチームメイトたちが出迎え。
取り囲んで送り出しました。


本当にいい光景を目にさせてもらいました。
それこそ後楽園球場時代から数多く日本ハムの応援に馳せ参じた自分ですが、こんなに心打たれた試合はありません。


そして。
悔しい敗戦だったはずなのに、球場に留まり続けて、幸雄の挨拶に付き合ってくれて、大きな拍手を一緒に贈ってくれた、レフトスタンドの楽天ファンの皆さんの心意気にも感動しました。
戦い済んでノーサイドスポーツマンシップを見た思いです。素晴らしい姿勢に大感謝です。


残り11試合。
幸雄の挨拶にあった通り、ファンとして、「優勝」の2文字だけを信じて、応援し続けたいと思いました。


★★このチームを応援し続けたことを、心から誇りに思います。人気blogランキング★★

*1:あくまで「公式戦においては」ですよ。今後、チームが日本シリーズ進出を決め、対戦相手が巨人になればまた「東京ドームでヒット」の可能性はありますから。