ワーイ(その2)

またまた、Amazonで注文していた日本史系の書物到着。


『山陵』(上野竹次郎:名著出版
山陵


この本なのですが。
大正14年7月20日に出版されたものを復刻し、平成元年2月27日に再販したもので(ただし、今回の底本になっているのは、大正天皇多摩陵も収録されている昭和4年5月1日発行の第4版です。)*1
今日の陵墓研究の先駆けとなった名著です。
当時の定価は13円。ちなみに、復刻版のそれは7,800円+消費税です。


しかし。
読み耽っているうちに。
ある事実に気がつきました。


「…長慶天皇陵が載っていない」


そうです。
長慶天皇が、詔書によって第98代天皇として歴代に加えられたのは、大正15年10月21日のこと*2
初版出版当時は、長慶天皇は「天皇としては歴代に加えられていない」状態だったのです。
今回の底本は昭和4年発行ですから、大正天皇陵と同様に長慶天皇陵が増補されていてもおかしくはなかったと思うのですが…あるいは本文の末尾ではなく途中への増補が当時の技術では難しかったのかもしれません*3


余談ですが。
あとがきに当たる「刊行にあたって」の末尾にあった、この文章にシビれました。

本書の編者 上野竹次郎氏は、大正三年宮内省に設置された臨時(帝室)編修局の編修官として『明治天皇紀』の編修に従事された方であるが、今回その消息を確認することができなかった。御存知の方は、小社宛、御一報いただければ幸いである。

「今回その消息を確認することができなかった」て。


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*1:また、復刻に当たり、貞明皇后多摩東陵昭和天皇武蔵野陵も追加されています。

*2:「朕惟フニ長慶天皇在位ノ事蹟ハ史乗ノ紀述審ナラサルモノアリ今ヤ在廷ノ臣僚ニ命シ深究精覈セシメ其ノ事蹟明瞭ナルニ至レリ乃チ大統中同天皇後村上天皇ノ次ニ列ス茲ニ之ヲ宣示ス」というのがその本文です。

*3:その後よくよく読んでみたところ、「昭憲皇太后伏見桃山東陵」と「大正天皇多摩陵」の間に「大正十五年十月二十一日詔書ヲ発セラレ長慶天皇ヲ皇代中、後村上天皇ノ次ニ列シタマフ。第九十八代ニ當ラセラル。山陵ノ御所在、未ダ詳カラナズ」と注記がされていました。さらに、行間部分に、底本とは違う、復刻に際して追加となった部分と同じ活字で「昭和十九年、嵯峨東陵(京都市右京区嵯峨天竜寺角倉町)と決定された」とありました。