受験生にちょっとだけ役立ててもらえるかもしれない話

弊ブログは。
一応「日本史系ブログ」として看板を掲げているわけでして。
たまにはキチンとしたエントリも上げておかないといけません。


かくの如き思いを胸に。
これから受験戦線に突入していくであろう受験生諸氏に捧げるエントリを物したいと思います。


これから語る内容は。
自分のオリジナルというわけではありません。
自分が受験生だった頃から広く語られていたことです。
ですから、そのような前提でご覧ください。
すでにご存知の方は読み流すもよし、初めて聞く方は今後ご活用いただければ幸いです。


干支を表す「十二支十干」ってありますよね。
その「十干」で、その年が西暦何年だったかの下1桁が分かる…ってご存知でしたか?


…まあ、「十干」は10年で1回りなのですから。
同じ「十干」の年は西暦下1桁も共通する…というのは、当たり前といえば当たり前なのですが。


まず「十干」を並べてみましょう。

甲乙丙丁戊己庚辛壬癸

…全部覚えてますかー!? 「甲乙丙丁」くらいは少なくとも覚えておいてくださいねー!!
意味のない言葉並べで覚えてもいいと思うんですよ。「甲乙丙丁、ボキッと更新、仁義」みたいな。


「甲」を起点として。
西暦下1桁を覚えてしまえばよいわけなのです。


「甲」の年は。
西暦下1桁は「4」です。
日本ではなく朝鮮半島での出来事ですが、甲午農民戦争は西暦1894年に起こった事件です。
また、新撰組参謀の伊東甲子太郎は、西暦1864年(元治元年)に新撰組に加盟するのに伴い、その年の干支が「甲子」であったことから「甲子太郎」に改名したことでも知られています。
近しい出来事としては…甲子園球場を思い出してください。甲子園球場もまた、完成した西暦1924年大正13年)の干支が「甲子」であったことにちなんで命名されているのです。


続く「乙」の西暦下1桁は「5」
西暦645年(大化元年)に起こった乙巳の変から覚えればいいですかね。


「丙」の西暦下1桁「6」と、「丁」の西暦下1桁「7」は。
これといったいい例を見つけることができませんでした。
「甲乙丙丁」から「4567」と機械的に覚えるのが1番手っ取り早いですかね。
あ、日本では「慶長の役」と呼ばれている豊臣秀吉の西暦1597年の朝鮮出兵が、現地では「丁酉の倭乱」と呼ばれているなんて例がありましたか。
そういえば、直近の「丙午(ひのえうま)」が西暦1966年(昭和41年)でしたっけ。


「戊」の西暦下1桁は「8」
これはもう、西暦1868年(明治元年)の戊辰戦争で1発ですよね。


続く「己」は、西暦下1桁は「9」
若干マイナーな事項ですが、西暦1609年(慶長14年)に対馬の宗氏と李氏朝鮮の間で締結された「己酉約条」なんてのがあります。


「庚」の西暦下1桁は「0」
西暦670年(天智天皇9年)に作成されたといわれているわが国最古の戸籍「庚午年藉」で覚えるのがよさげですか。


「辛」の西暦下1桁は「1」
これは、日本国内の出来事ではないんですが、中国で西暦1911年に起こった辛亥革命で覚えるのが便利です。


「壬」の西暦下1桁は「2」
西暦672年(天武天皇元年)、大海人皇子大友皇子が激突した壬申の乱があまりにも有名です。


「癸」の西暦下1桁は「3」
「癸」は…これといった適切な例が見当たらないんですよね。ただ、西暦1853年(嘉永6年)6月3日、ペリーが黒船4隻で浦賀にやってきたときの干支が「癸丑」でした。そのため、勤皇の志士の間で「黒船来航以来国事に奔走していた」という自負を込めてよく「癸丑以来」なんて言葉が使われていたようです。木戸孝允なんかは、明治に入ってからもよく、あのグジグジした性格(失礼)で「こういう政府をつくるためにわれわれは癸丑以来粉骨したわけではない」とのたまっていたみたいで、矢野竜渓後藤象二郎に木戸に会ったと言ったら「また例の癸丑以来が出たろう」と言われたという逸話があります*1
ともあれ、「黒船来航」の1853年と「癸丑」を1セットで覚えればいいですかね。


さて。
これらを頭に叩き込んでおけば。
日本史の史料問題などで干支が出てきたときに、慌てることなく年代をフィックスすることができる…ということになるのです。


例えば。
明治時代に朝鮮半島で起こった「甲申事変」「壬午事変」がそれぞれ西暦何年に起こった出来事かということも。
おおよそ何十年代に起こった出来事かさえ押さえておけば、西暦下1桁は十干で分かるわけです。
「甲申事変」は西暦1884年、「壬午事変」は西暦1882年です。
「…どちらが先に起こった出来事かな?」なんて戸惑ったときも、これらの技を駆使すれば正解に辿り着ける可能性がうんと高くなるわけなのです。


これからが本番たけなわを迎える受験生の皆さん(…がどれだけ弊ブログをご覧になられているかは不明ですが)。
ぜひ、ここに書かれていることを活用して、満願成就の日を迎えられますように。


★★ちなみに…自分は受験生時代は便利に使っていましたよ。遠い昔の話ですが。人気blogランキング★★

*1:矢野竜渓の『竜渓閑話』に出ている逸話のようです。司馬遼太郎の『世に棲む日日』でも紹介されてましたね。