Who killed Cock Robin?

というわけで、↓に書いたとおり、坂本龍馬ネタです。
あんま真新しいネタではないんですけど。


ていうか、ぶっちゃけ「坂本龍馬殺したのって、結局のところ誰なのよ?」ってことが言いたいだけなんですけど。


かつて信じられていた「新撰組説」*1は、今日ではほぼ否定されているようです。
明治に入ってから、見廻組隊士であった今井信郎が「自分や佐々木只三郎らが殺害した」と自首したことから、現在では「龍馬暗殺の実行犯は見廻組」というのがほぼ定説となっています。
NHK大河ドラマ新選組!』でも、この定説をほぼトレースしていました。伊原剛志演じる佐々木只三郎と、江口洋介演じる坂本龍馬の立ち回りは、後半1つの見せ場であったと思います。


ところがですねえ。
引っかかる点が1つだけあるんですよ。


この自首した今井信郎なんですけど。
大抵の要人暗殺犯が斬首に処されているなかで。
禁錮5年という寛大な判決を受けて、後に出所して天寿を全うしています。
「龍馬暗殺」という大事件を起こした兇徒に対して、なぜそこまで寛大な判決が必要だったのでしょうか?


しかも。
獄に下った彼の助命運動を1番熱心に行った人物というのが。
誰あろう、西郷隆盛だったのです。
薩摩藩士と幕臣という、なんの接点もなさげな2人なのに、なぜ西郷は彼の命を救おうとしたのでしょうか。考えれば考えるほど腑に落ちません。


暗殺の黒幕を探るとき、「その人物が殺されて1番得をするのは誰であるのか」を考えるのは常套手段です。
薩摩・長州は武力による討幕をもくろんでいました。
無論、「徳川に代わって自分たちが政権を手にする」野望を秘めてのこと、です。
ところが。
彼らの野望は、龍馬が演出した「大政奉還」で水泡に帰してしまいそうになります*2
武力をもって徳川を討とうとする人間にとって、1番邪魔な存在は誰かというと…。
もうお分かりですよね。


以上のことから。
今日では「見廻組が実行犯。ただし、ウラで糸を引いていたのは薩摩である可能性大」というのが、この論争の最も有力な落としどころになっています。


この文章を執筆するに当たって、今回いろいろなページにお邪魔させていただいたのですが、1番興味深く拝見したのは「竜馬の如く」というHPにある「竜馬暗殺の謎を探る(前編)」(http://www.geocities.jp/ryoma21jp/newpage30.htm)「竜馬暗殺の謎を探る(後編)」(http://www.geocities.jp/ryoma21jp/newpage31.htm)でした。極めて多角的にいろいろな説を紹介、検証なさっていて、感心させられました。興味のある方は、ぜひこちらも訪ねられてみてはいかがでしょうか。


どちらかというと「佐幕派贔屓」の私。人気blogランキング

*1:「現場に落ちていた刀の鞘を『原田左之助のものである』と伊東甲子太郎が証言した」「ともに襲撃され2日後に他界した中岡慎太郎が『犯人は伊予訛で“こなくそ”と言っていた』と語っていた」というのがその根拠とされていました。余談ですが、土佐藩士は最後の最後まで暗殺の真犯人を新撰組と信じていたようで、後に近藤勇に対して梟首の刑を執行したのは、土佐藩出身の谷干城が龍馬暗殺の報復のために声高に主張したからであるといいます(同じ官軍でも、薩摩藩出身の有馬藤太はどちらかというと近藤に同情的で「最低限でも武士としての礼を尽くして切腹はさせるべき」と主張していたようです)。

*2:大久保利通に至っては、大政奉還がなされたのと同じ慶応3年(1867年)10月14日に「討幕の密勅」なんてもんまでゲットしていましたが、大政奉還によって「ただの紙切れ」になってしまったわけですから。さぞや歯噛みしたことでしょう。