敵は幾万ありとても

今回の話は、大学院の入学式から帰宅した翌日の日曜日にプレイバックした場面から始まります。


宅配便で。
山のように、大学院のテキストが送られてきました。
段ボール1箱。


それがもう。
専門書と特製テキストの、嵐、嵐、嵐。
心中密かに「…ユーアーマイソウルソウル」なんて懐かしい歌を口ずさんでしまうぐらいしか詮方ないぐらいの、質量ともに圧巻の1箱でした。


で。
月曜日から。
主に仕事の昼休みを中心に。
早速1つ目の課題にチャレンジすべく。
天皇陵古墳』(森浩一:大巧社)という専門書を読んでいます。
天皇陵古墳


…最も得意ジャンルにして、修士論文のテーマとも重なり合う部分の多いこの本ですが。
読んでいくうちに、自分の浅学非才を深く深く思い知らされることになりました。
「日本史マニア」にして「天皇陵マニア」を名乗っている自分が、この本を読んで初めて知らされたこと多数…でした。
「…1番得意そうなジャンルでこんなに苦戦するようで、大丈夫なのか自分?」と思わず再度不安になったりなんかして*1


そんなとき。
ふと思い出した和歌があります。


昭憲皇太后の詠んだ「みがかずば玉も鏡も何かせむ学びの道もかくこそありけれ」という歌です。
太后が皇后時代の明治8年に、女子師範学校設立に際して多額の下賜金を賜った際に詠まれた和歌である…ということはかつて弊ブログでも紹介させていただいたとおりです(http://d.hatena.ne.jp/CasparBartholin/20051027#p1)。その縁で、女子師範学校の後身であるお茶の水女子大学の校歌は、附属の小・中・高校も含めて全てこの歌に曲がつけられたものとなっています。


たとえ往く手は険しくても。
強い意志と努力をもってして自らの「学びの道」をみがいていかなければ、玉にも鏡にもなることができないのだ…とこの歌に強く戒められたような気がしました。


ここからは余談です。


数年前。
飲み会の帰りに、知己と夜遅くの小田急線に乗っていたときのことです。


なぜか話題がこの『みかかずば』の歌になったのですが。
後ろにいた男女2人連れの男性の方が、我々の話している内容を聞いて、いきなりこの歌の歌詞を斉唱し出しました。


「おー」「合ってる合ってる」と小声で私と知己。


「なんで知ってるの?」という連れの女性の問いに対して、「俺、附属中出身だったから」とその男性*2


ほっほーと思いつつ、知己とさらに会話に聞き耳立てていたら。
その男性曰く。
「…確かケンショウ皇太后とかいう人の作った短歌が歌詞なんだよな」。


…うーん、実に惜しい。


★★連れの女性は「…ふーん、そうなんだ」とあっさりスルーしてました。人気blogランキング★★

*1:前回不安になったときのことは、こちら(http://d.hatena.ne.jp/CasparBartholin/20070327#p1)をご参照ください。

*2:ちなみに、お茶の水女子大学の附属校のうち、小学校と中学校は共学なのだそうです。高等学校だけが女子高なのだとか(http://www.ocha.ac.jp/plaza/qa.html)。だから、この男性の発言には何ら事実と矛盾点はありません。